「蟻の兵隊」2006/12/11 01:44:44

こういう話に接する時、想像力が大切なのだと思う。
奥村さんが中国に渡り、かつて皆と闘った場所を去る時に、「さよなら」「また来るから」と言った時の気持ちは、映画を観ているだけでも胸に迫るものがある。だがきっと、奥村さんの心の内は私たちが感じているより遥かに深い痛みを抱えたものだと思う。
それは、私たちは想像するしかないのだ。

様々なことを理由にして、我々は軍を持つべきだ、「普通の国」として闘う権利を持つべきだ、という声は多い。
だが、その議論の中で、実際にその時、自分が、家族が、恋人が友人が、戦場で銃を取るのだ、人を殺し殺されるのだ、という事を分かって言っている人は(私も含めて)どれだけいるのだろうか、と思う。

何事にも物事にはメリットとデメリットがある。
戦争をするに際してのメリットは言葉として耳に入りやすい。「国」を守れ、国境を守れ、「正義」を守れ……。
だが、そのデメリットは、それを体験した人にしか本当には分からない。そしてそれを体験した人は今、急速にいなくなっている。
体験していない私たちがそれを「知る」ためには、単に話を聞くだけでなく、それが自分にとってどういうことなのか、を想像しなければ分からない。
正しくメリットとデメリットを考えるためにも、私たちにはそのことを知る義務と、想像力を働かせる必要があるのだと思う。

「ホワイトカラーエグゼンプション」2006/12/18 00:17:41

朝日新聞にようやく、「ホワイトカラーエグゼンプション」についての記事が出始めましたね。
取材を重ねて記事にするまでには時間がかかって当然でしょうが、経団連が導入を主張し出し、それを受けて厚労省が労働法制の改訂案を出してから、では既に後手に回っているのではないでしょうか?

経団連の言うことを見ていると、社員が会社に残っているのは仕事もないのに時間外手当を稼ぐため、と言うことですが、少なくとも私の職場にそんな人はいません。
皆、1人では、時間内では処理し切れないほどの仕事を抱えて残っている人ばかりです。
そういう職場の実態を知らないのだとしたら経営者として失格と言うべきですし、知っていてそう言っているのだとしたら、詐欺師と同じです。

英国型の労働法制を報告した後、今後、他の国の欧州の労働法制とアメリカの労働法制を報告し、最後に日本の職場の実情を報告するのだろうと期待していますが。
日本のホワイトカラーの実情を取材してゆけば、時間外手当を稼ぐために仕事もないのに残っている、などということは、よしんばあっても余程恵まれた職場だと言うことになるはずです。
ただ、毎月の賃金と夏期・年末手当てだけでは足りず、時間外手当を含めてようやく生活が成り立っている、というのは事実です。が、実際の仕事量はその手当て分を上回っています。
2時間や3時間分の時間外手当てが出ていても実際は定時後も4時間、5時間働いているということは、実際の職場ではザラでしょう。少なくとも私の職場では珍しいことではありません。

現在でも課長以上の管理者は時間外手当は出ておらず、それなりに日本版のホワイトカラーエグゼンプションは行われているというべきです。
日本では課長より下の社員は課長の指示に従い、その範囲内で自らの裁量で仕事を行っているのみであり、部下を持っていてもその部下に対する裁量の権限などは持っていません。

そんな中で年収400万円や700万円で区切って「ホワイトカラーエグゼンプション」を導入すれば、仕事と成果だけを押し付けられ、長時間労働を強いられる結果になるのは目に見えています。

今の日本では住宅ローンや子供の教育費などを考えれば年収700万円でもギリギリの筈です。
時間外手当を無くされ、今以上の長時間労働を強いられるようになれば、生活破綻に陥る人たちは急増するでしょう。

日本の職場のそういう実態をこれでもかと報道し明らかにしてゆくこと、経団連の言っていることがいかに現実と遊離しているかを報道の中で知らせてゆくことを期待します。

労働組合もすっかり力を無くし、このままでは経団連の言う通りに通ってしまうのではと本当に危惧しています。
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