「秘密国家」は「無責任国家」。2013/12/10 01:37:55

朝日新聞「ポリティカにっぽん」(2013年11月19日付け)より

(前略)

 1972年の沖縄返還の裏に、米国が負担すべき土地原状回復費用を日本が肩代わりする密約があったことを暴いた西山さん(注記:当時、毎日新聞記者)の話は具体的である。

 2000年、アメリカは日本との沖縄返還交渉の外交文書を一挙に公開した。そこには西山さんがつかんだ密約が明らかにされていた。ふつうはそれで日本政府も兜(かぶと)を脱ぐだろう。ところが違った。外務省は密約の当時のアメリカ局長吉野文六氏を呼んで「密約は一切ないと言ってくれ」と口止めをした。吉野さんはOKした。外務省はあわてて日本側の資料を焼却した。1200トンに及ぶ量だった、と西山さんは語った。

 2006年、吉野さんは良心の呵責(かしゃく)からか、「密約に私が署名した」とマスコミに告白した。それでもなお、当時の安倍晋三官房長官、麻生太郎外相、河相周夫北米局長は「密約はない」と言い張った。このシラの切り方は尋常な「秘密体質」ではない。

 「アメリカでは、キューバ侵攻が失敗だったとケネディも認めた。イラク戦争の大量破壊兵器はなかったことも認めた。イギリス議会もイラク戦争を徹底検証した。これが普通の先進国である。日本にはそれがない」

 私(注記:当記事の筆者・早野透氏=桜美林大教授・元朝日新聞コラムニスト)は朝日新聞在社当時、夕刊「にっぽん人脈記」を主宰していたので、松本一弥記者に世界に飛んでもらって「イラク戦争検証」の連載記事を書いてもらった。元防衛官僚の柳沢協二さんが「検証 官邸のイラク戦争」という本を出した。しかし、政府与党として「自衛隊派遣」の是非についての検証と反省はまったくしていない。「秘密国家」は、過ぎ去ったことはそのままヤミに葬る「無責任国家」でもある。

(後略)

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