朝日新聞バッシングに思う。2014/09/06 21:49:04

以前、朝日新聞は共産主義、社会主義だという集中攻撃がありました。あの時も今のような雰囲気だったと思います。朝日の記事の一節を取り上げて、こんなことを言っているからアカだ、とか、やる訳です。
日頃から朝日新聞を読んでいる私には、朝日のどこが社会主義や共産主義なものか、と思っていました。多くの文章の一節だけを取り上げれば如何様にも評せますから。
でも、日頃は朝日を読んでいない人にはなるほど、と思った人も多かったことでしょう。

今回の朝日叩きにも同じものを感じます。確かに朝日にも詰めの甘さや至らないところがあります。けれどそれは朝日に限ったことでしょうか?
他人のことを言うのは潔くない。まずは自分の振舞いを正せ、と池上彰氏が「ななめ読み」で言ったとおりで、朝日自身は他紙(誌)のことは言いにくいでしょうが(慰安婦報道検証記事でも他紙への言及は控え目な扱いだったと思います)、読者の私が言うのは問題ないでしょう。


佐藤栄作自民党政権時代、沖縄返還を米国と約した佐藤総理は、その裏で、米軍基地跡の原状復帰費用を、米政府が支払うと見せかけて実は日本政府が負担する事を、秘密裏に米国と約束しました。日本国民に知られたら反対の声が沸き起こる事が明白だったからです。そうして為した「沖縄返還」を大きな政治実績と自讃し、ノーベル平和賞まで受賞したのです。

毎日新聞の記者がそれを嗅ぎつけ、記事にしました。彼は外務省の女性職員を通じてその資料を入手し、その過程で二人(共に既婚者)は肉体関係を持ちました。
佐藤政権はそれに対して、国家機密を「女性職員と情を通じて」不当に入手したとして二人を機密漏洩とその教唆で起訴しました。
そして、毎日新聞以外のマスコミは毎日新聞に対し、女性と肉体関係を持って情報を入手したことを執拗に責め立てたのです。裁判の中で「情を通じて」という言葉を用い、事件をセックス絡みの国家機密漏洩事件として強調した佐藤政権の狙いが当たったのです。
この問題の本質は、佐藤政権が、沖縄返還と言う日本にとって重要な事案を、国民を騙し偽りの内容で行った事、その事を国家機密と詐称した事にあったのに、そのことは目眩しされてしまったのです。


佐藤政権が、米国が負担すべき費用を日本が負担すると決めた事は、国家機密でも何でもありません。単に佐藤政権にとって都合が悪いというだけの情報です。

毎日新聞が正しかったことは密約の内容がアメリカで情報公開されたことで明らかになりました。
新聞記者が公務員から情報を入手する際に、相手と肉体関係を持つことは倫理的に適切ではないかもしれません。それはプライバシーに関することではないか、との意見もあるでしょうが、その点は議論されてしかるべきです。
ですが、その点のみが執拗に責め立てられ、本当に問題にすべき事ーー政権が自らに都合の悪い情報を国家機密と詐称して国民から隠し、それを以て自らの「政治的実績」を誇示した事ーーが、有耶無耶になってしまったのは本末転倒であり、佐藤政権の思う壷でした。

従軍慰安婦問題にしても、日本軍が直接的に女性を強制連行したという吉田清治氏の証言は虚偽だった訳ですが、当時、朝鮮、中国、東南アジアを日本が占領し、その占領下、軍の管理の下で現地の女性たちが否応なく日本兵の相手をさせられたことは事実であり、そここそがこの問題の本質です。
朝日新聞が証言に基づく記事を取り消した事は必要であり、遅きに失しましたが、そのことで従軍慰安婦の存在自体を否定することは本末転倒でしかありません。


しかしながら、吉田証言による記事の取消しが遅きに失したのは事実。池上彰氏のコラム「ななめ読み」の掲載見送りは、動揺の中の判断とは言え、あってはならない判断ミスでした。

安倍幹事長(当時)らによるNHKの番組改変問題を報じた時も、NHK当事者への取材時に録音を認めていたかどうかを詰めていなかったことから、(この問題の本質は明らかであり、朝日が報じた事実は裁判判決でも認定されましたが)報道としては曖昧な決着の付け方となってしまいました。

朝日新聞はこれを機として、更に取材・報道の詰めの甘さを無くし、取材・報道の力を高めることに努めるべきです。読者は必ずそれが分かる筈。
自由と民主主義、非軍事・平和主義、脱原発、社会格差の是正、これらを全国紙の中で最も徹底して主張しているのは朝日だと思います。これまで疑問に思う記事も多々ありましたが、それより、そういう朝日らしさを感じる記事が多いからこそ、そう思います。
今、福井地方版で連載しているルポ「東尋坊」も、生活保護を実際に受ける人の現場から言葉を起こしているいい記事だと思います。

まだまだやるべきことは多いでしょうが、これからも必要な時には政治権力に対峙してゆく姿勢を保つには、取材・報道の力を更に高め、腰を据えて取り掛かる、態勢と姿勢が必要です。
そのためには、今の朝日はまだ道半ばということです。
頑張りましょう。
正々堂々と。それが朝日の道だと信じています。

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