日本国憲法改正私案について2015/05/30 14:03:46

現在、日本国憲法改定問題が、段々と現実味を増してきています。
またそれと裏腹に、安倍政権による解釈改憲、それに基づく「安保法制」の閣議決定と国会提出により、日本国憲法の根本原理が歪められ、立憲主義が崩されようとしています。

ここにあって、日本国憲法が指し示すもの、戦後の日本国民がこの憲法によって目指していたものを、改めて明確にし、発展させる形で日本国憲法改正私案を作ってみようと思いました。

敗戦後間もなく、また戦前の自由民権運動の時代にも、幾つもの憲法私案が考えられ、議論されてきたと言います。

自民党が考えている復古的な憲法案に対して、護憲というだけでなく、日本国憲法の精神をより明確にし、発展させる形での改正案をぶつけるのも、大切ではないかと考えました。

また自分で案を考える中で、様々な問題に対する自分の考えを整理しまとめられたことも有意義でした。

私案は別のスレッドに立てましたが、以下に、改正案の意図と概要を記します。
(私案については、色付きの箇所が、現憲法からの修正・加筆部分です)

また、改訂案の一つとして上がっているいわゆる「緊急事態条項」については私案には含めませんでしたが、それについての考えも、以下に記しました。

よければ読んでみて下さい。

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【日本国憲法改定私案についての注釈】
《前文》
 1)この憲法の基本原理は、他国と交わす条約も含め、日本国内で適用される一切の憲法、法令等を貫くものであること。
 2)軍事紛争、戦争の元となる専制と服従を除去する事によって平和を構築・維持してゆくことに向け、全力をあげることを宣言。

《第一章》
 1)性差別を禁止した日本国憲法の規定に沿い、世襲におけるいわゆる女帝の認容の明確化。
 2)天皇が国政の権能を有しない事を明記し、その政治利用を禁じることを明確化。

《第二章》
 1)「戦争の放棄」としていた第二章を「戦争の放棄と平和の構築」と修正し、我が国が採る平和構築政策(非軍事的安全保障政策)を規定する。
 2)第九条で専守防衛とそのための組織として自衛隊を規定する。
 3)第十条で非軍事的手段による国際的な安全保障政策・救援政策を行うことと、そのための組織として国際救助隊を規定する。
 4)第十一条で、武器生産の制限とその輸出禁止を規定する。

《第三章》
 1)現憲法の人権規定を更に敷延した内容で修正を行う。
 2)第十四条。「公共の福祉」の意味をその考え方について明記。
 3)第十七条。公務員の規定について、「奉仕者」という文言に誤解を生む可能性があるため修正。
 4)第十八条。請願について、その扱い方を明記。
 5)第二十一条。思想及び良心の自由を実質的に保護出来るよう追記。
 6)第二十二条。国の宗教的活動の禁止を厳格化。
 7)第二十五条。学問の自由、教育の政府からの独立性について追記。
 8)第二十六条。婚姻における異性婚を前提とした記述を修正。
 9)第二十七条。環境権について規定を追記。
 10)第二十八条。義務教育の無償化について追記。高等教育の機会の公平化を義務付け。
 11)第二十九条。勤労者の健康の保護を義務付け。
 12)第三十条。公務員に労働三権を保障。
 13)第三十八条。抑留・拘禁中の取調べの録画を義務付け。
 14)第三十九条。刑事被告人に全証拠品の開示要求の権利を付与。

 《第四章》
 1)衆議院、参議院の選挙方法を規定。
 2)いわゆる「一票の格差」を衆議院選挙及び参議院の比例代表選挙において、1.2倍以内に抑えることを義務付け。
 3)いわゆる「党議拘束」の否認。
 ※衆議院は内閣を組織するために、多数派の形成しやすい小選挙区制を採用する。
  参議院は衆議院に対し、より民意を反映し、権力の抑制を期するため、比例代表制を採用すると共に、各都道府県の代表としての議員も選出する。

 《第五章》
 1)行政権は憲法及び法律に従うことを明記。
 2)政令は憲法及び当該法律に則ったものでなければならないことを明記。

《第七章》
 1)赤字国債の発行に両議院での2/3以上の可決を義務付け。
 2)学校教育への補助と、特定宗教への支出禁止を明記。
 3)国会での決算審議とその議決により決算終了とすることを明記。国会での決算審議を憲法上の明記事項とする事で予算策定及びその執行の厳格化を期する。

《第八章》
 1)一の地公共団体のみに特定の施策を適用する場合は、同様の特別法を制定する場合と同じく、当該地方公共団体の有権者の過半数の同意が無ければならないことを明記。

《第九章》
 1)憲法改正の際の国民投票について、有権者の過半数の賛成が必要とするよう、付記。

《第十章》
 1)この憲法は、この国の全ての規定(皇室典範を含む)、権力の施行及び外国との条約についてはこの国内に効力が及ぶ限りにおいて、その全てに優先する最高法規であって、この憲法の規定と合わない部分については効力を発しないことを明記。
 2)この憲法に基づかない法令、国務に関する行為は効力を有しないことを明記。(「統治行為論」の否認)
 3)国務大臣、国会議員等の憲法擁護義務の由来を付記。

《第十一章》
 1)旧第百一条を削除。

《緊急事態の章》
 取り沙汰されている「緊急事態条項」については憲法に入れるべきかどうか、判断が付きかねたので入れませんでした。但し、入れる場合には以下の点に留意すべきと考えます。

◎「緊急事態」が必要とするポイントは2点
 A)立法と行政執行を素早く行う必要がある。
 B)Aに際して、財産権等、基本的人権の制限を行う必要がある。
この2点について、国家権力の独走及び必要以上の基本的人権の侵害が起きないよう、以下の案を提起します。

Aについては、その権能を内閣に集中させる必要はありません。
例1)
「緊急事態」の宣言は国会が行うこととし、それに伴い「緊急委員会」(仮称)を組織させ、「緊急委員会」に緊急の立法権と行政執行権を授権する。「緊急委員会」は内閣と国会の代表者で組織し、その決議は組織メンバーの多数決で行う。
例2)
「緊急事態」の宣言は国会が行うこととし、それに伴い「緊急議会」(仮称)を組織させる。「緊急議会」は、予め、国会のメンバーから10名程度を選抜しておき、「緊急事態」の宣言と共に組織する。
「緊急事態」においては、内閣は「緊急議会」へ必要な立法を要請し、「緊急議会」が立法した法律に拠って、行政執行を行う。
なお、「緊急議会」のメンバーは、「緊急事態」において内閣の独走を抑制する機能を持たせるため、比例代表制で選出された議員から、その構成政党の比例により選出する。

Bについては、可能な限りの基本的人権を守る規定を用意します。
1)宣言される「緊急事態」は期限付きである事を前提とし、「緊急事態」において立法された法律(並びにそれに基づいて為された行政執行)の効力についても同様とする。
  期限は必要な場合は延長することが出来るが、延長回数にも制限を置く。
2)「緊急事態」下においても、制限が許される基本的人権を予め憲法の中に明記(例えば、財産権、移動権)し、その制限は合理的かつ必要最小限のものでなければならず、相応の補償がなされねばならないとする。他の基本的人権はいかなる制限も許されない。
  司法権及び国民が裁判を受ける権利は「緊急事態」下においても制限されない。
3)「緊急事態」の期間中、国会の開催期間及び議員の任期は延長される。国会は、「緊急委員会」(または「緊急議会」。以下、同)が為した立法及び行政執行に対し、その是非を勧告し、是正を要求出来る。「緊急委員会」は国会の是正要求に従い、立法内容、行政執行内容を修正しなければならない。

上記のような規定とし、「緊急事態」での権力の抑制、基本的人権の保護を期するべきと考えます。

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