安倍首相の戦没者追悼式・式辞は間違っています。2013/08/18 10:10:39

安倍首相の、戦没者追悼式での式辞について

国内向けの発言だからアジアへの加害責任には触れなくていいというのは間違っています。
これは、戦没者への慰霊を、『国のために命を捧げた、亡くなった人たちへの慰霊』だ、と認識しているから、このような誤った対応が出てくるのです。

この認識の上で、戦争で亡くなった人たちのおかげで今の平和がある、とよく言われます。
『あなた方の犠牲の上に、いま、私たちが享受する平和と、繁栄があります』
と、戦没者追悼式での安倍首相の式辞にもありました。

ならば訊きたいのですが、
では、もし、あの戦争で我が国が勝っていたら、今の平和と繁栄はあったのでしょうか?
そうではないことは明らかです。
少なくとも、安倍首相が式辞で述べたような、
『自由、民主主義を尊び、ひたすらに平和の道を邁進(まいしん)』することは無かったでしょう。

我が国は、あの戦争で負けたから、戦後の平和と繁栄を得ることが出来たのです。

ならば、その戦争で亡くなった人たちの死を、私たちはどう捉えればよいのでしょうか。
あの戦争の意味、内容に関わらず、戦地に赴いた個々の人たちが『家族のため』、『お国のため』に、と思って戦地へ向かった(送られた)ことは間違いありません。家族のために自らの命を投げ出す覚悟をされていたことは間違いないのですから、その点については敬意を表し、その死を悼むことについては異論はありません。(無理矢理そう思い込むしかなかった、ということもあったかもしれません)

ですが、だからと言って、彼らが『お国のために』死んでいった、ということにはなりません。
彼ら自身の心情と、実際に彼らが行った(行わされた)行為の意味とは別物です。
彼らが行った行為は、アジア諸国への侵略行為でした。
彼らが戦い、死んで行ったのは中国大陸であり、朝鮮半島であり、アジア諸国の土地であり、日本列島内では無いのです。

日本列島内でも(空襲で)死んだではないか、と言われるかもしれません。
確かにそうですが、それは対米国の話です。
太平洋戦争は二つに分けて考えねばいけません。
日本対アジア諸国については、日本による侵略戦争。
日本対連合国については侵略地の争奪戦争です。

ここでは日本対アジア諸国の戦争について語っています。

何故、当時、多くの国民が『お国のため』と称して侵略地に送られたのか、多くの国民がそれに従ったのか。
多くの国民自身が中国侵略を祝い、アジア諸国への侵略に歓声をあげたことは間違いないようです。
しかし、そこには、我が国の侵略を是とするための情報操作、マスコミ操作がありました。侵略各地で我が国の軍が、国民がどのようなことをやっているのか、そのことは国内の国民には覆い隠されていました。
当時の我が国政府は、国民を騙すことにより戦争を遂行していたのです。
あの戦争に、国民の責任が無いのか、と言われれば、そうとは言えないでしょう。しかしながら、当時の為政者と国民とを同列に扱うことは到底出来ません。

何故、多くの国民が戦地に赴き、人を殺さねばならなかったのか、そして、死なねばならなかったのか。
決して、『お国のため』ではない。
為政者による意図により、そうさせられたのです。アジア諸国を侵略し、そのヒトと資源を奪うために。

ならば、我が国の戦没者を悼むための言葉だとしても、『あなた方の犠牲の上に平和と繁栄がある』と言う言い方は、その意に沿いません。
真に戦没者を悼むためには、誤った政策によって彼らを死に至らしめた当時の我が国の行いを反省することが必要であり、当然、そのことは、アジア諸国の人々に対して行ったことへの謝罪と反省にも繋がらざるを得ません。
アジア諸国に対する謝罪と反省無くして、我が国戦没者への慰霊はあり得ないのです。

また、式辞において加害責任への言及を止めたことは、戦術として考えても稚拙だと思います。
せっかく、主要閣僚の靖国神社参拝を止めた意味が、このことにより、半減、或いは無駄になってしまいました。
あることで「譲歩」しながら、その分を別のところで小出しにする、そういう中途半端なやり方は、せっかく行った「譲歩」を無駄なものにしてしまいがちです。私も仕事上よくやる失敗です。

方向性を決めたらその方向で思い切ってやる。
加害責任についてはしっかりと認識し、反省を示したうえでこそ、尖閣諸島や竹島問題についても対中国、韓国だけでなく世界に対して説得力のある主張が出来るのです。
加害責任を有耶無耶にしたままでは、尖閣諸島や竹島問題でどう主張しても、世界から色眼鏡で見られてしまい、共感は得られないでしょう。

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