「集団的自衛権」発動の条件2015/06/04 01:16:53

集団的自衛権の発動条件に、「国民を守るのに他に手段がない」ということが上げられています。

自然再生エネルギーは日本国内で賄う事の出来るエネルギーです。
この割合を増やして行けば、石油への依存をそれだけ減らす事が出来ます。
ならば、最大限、自然再生エネルギーの割合を増やして行かねばなりません。
自然再生エネルギーという手段を最大限、増やす事なく、「他に手段が無い」から「集団的自衛権」を発動するということは出来ない筈です。

自然再生エネルギーを増やして行くのにも多くの課題があるでしょうが、問題を解決出来ない原発を動かすのよりはまし、多くの若者を命を賭して戦場へ送る事を考えれば遥かにましな筈です。

安倍の国会答弁は出鱈目2015/06/03 00:56:09

米国がイラク戦争を始めるまで、国連の「国連監視査検証査察委員会(UNMOVIC)」が何度もイラクに入り大量破壊兵器の調査をしていましたが、大量破壊兵器は一切見つからず、その旨を報告していました。
そして、国連のイラクに関する決議はいずれも、イラクへの武力行使を認めるものではありませんでした。
これは英国やオランダのイラク戦争の検証過程でも明らかになっています。

なのに、安倍政権は、大量破壊兵器の存在を自ら否定しなかったイラクが悪かったのだと、米国が始めたイラク戦争に我が国が参加した事を否定していません。
事実は、大量破壊兵器は無いとの国連査察団の報告を無視し、国連決議にも基づかず、米国はイラク戦争を始め、我が国は真っ先にそれを支持し、参加したのです。

安倍は国会の「安保法制」論議で、日本共産党志比委員長の質問に対し、「国連憲章に反する行為に対して武力を以て協力する事はない」と答弁しています。
ならば、イラク戦争を支持し参加した事、今もそのことを否定しないこととその答弁は、どういう関係になるのでしょう?

安倍の答弁は、実際の行動と全く合わない、出鱈目だということになります。

このようないい加減な「論議」で、我が国が米国の起こす世界中の戦争に加担する法律が成立してしまう。
その戦場に、私たちの大事な人が立つ事になるかもしれない。
それでいいのでしょうか?

詳細はこちらで
http://bylines.news.yahoo.co.jp/shivarei/20150602-00046254/

日本国憲法改正私案について2015/05/30 14:03:46

現在、日本国憲法改定問題が、段々と現実味を増してきています。
またそれと裏腹に、安倍政権による解釈改憲、それに基づく「安保法制」の閣議決定と国会提出により、日本国憲法の根本原理が歪められ、立憲主義が崩されようとしています。

ここにあって、日本国憲法が指し示すもの、戦後の日本国民がこの憲法によって目指していたものを、改めて明確にし、発展させる形で日本国憲法改正私案を作ってみようと思いました。

敗戦後間もなく、また戦前の自由民権運動の時代にも、幾つもの憲法私案が考えられ、議論されてきたと言います。

自民党が考えている復古的な憲法案に対して、護憲というだけでなく、日本国憲法の精神をより明確にし、発展させる形での改正案をぶつけるのも、大切ではないかと考えました。

また自分で案を考える中で、様々な問題に対する自分の考えを整理しまとめられたことも有意義でした。

私案は別のスレッドに立てましたが、以下に、改正案の意図と概要を記します。
(私案については、色付きの箇所が、現憲法からの修正・加筆部分です)

また、改訂案の一つとして上がっているいわゆる「緊急事態条項」については私案には含めませんでしたが、それについての考えも、以下に記しました。

よければ読んでみて下さい。

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【日本国憲法改定私案についての注釈】
《前文》
 1)この憲法の基本原理は、他国と交わす条約も含め、日本国内で適用される一切の憲法、法令等を貫くものであること。
 2)軍事紛争、戦争の元となる専制と服従を除去する事によって平和を構築・維持してゆくことに向け、全力をあげることを宣言。

《第一章》
 1)性差別を禁止した日本国憲法の規定に沿い、世襲におけるいわゆる女帝の認容の明確化。
 2)天皇が国政の権能を有しない事を明記し、その政治利用を禁じることを明確化。

《第二章》
 1)「戦争の放棄」としていた第二章を「戦争の放棄と平和の構築」と修正し、我が国が採る平和構築政策(非軍事的安全保障政策)を規定する。
 2)第九条で専守防衛とそのための組織として自衛隊を規定する。
 3)第十条で非軍事的手段による国際的な安全保障政策・救援政策を行うことと、そのための組織として国際救助隊を規定する。
 4)第十一条で、武器生産の制限とその輸出禁止を規定する。

《第三章》
 1)現憲法の人権規定を更に敷延した内容で修正を行う。
 2)第十四条。「公共の福祉」の意味をその考え方について明記。
 3)第十七条。公務員の規定について、「奉仕者」という文言に誤解を生む可能性があるため修正。
 4)第十八条。請願について、その扱い方を明記。
 5)第二十一条。思想及び良心の自由を実質的に保護出来るよう追記。
 6)第二十二条。国の宗教的活動の禁止を厳格化。
 7)第二十五条。学問の自由、教育の政府からの独立性について追記。
 8)第二十六条。婚姻における異性婚を前提とした記述を修正。
 9)第二十七条。環境権について規定を追記。
 10)第二十八条。義務教育の無償化について追記。高等教育の機会の公平化を義務付け。
 11)第二十九条。勤労者の健康の保護を義務付け。
 12)第三十条。公務員に労働三権を保障。
 13)第三十八条。抑留・拘禁中の取調べの録画を義務付け。
 14)第三十九条。刑事被告人に全証拠品の開示要求の権利を付与。

 《第四章》
 1)衆議院、参議院の選挙方法を規定。
 2)いわゆる「一票の格差」を衆議院選挙及び参議院の比例代表選挙において、1.2倍以内に抑えることを義務付け。
 3)いわゆる「党議拘束」の否認。
 ※衆議院は内閣を組織するために、多数派の形成しやすい小選挙区制を採用する。
  参議院は衆議院に対し、より民意を反映し、権力の抑制を期するため、比例代表制を採用すると共に、各都道府県の代表としての議員も選出する。

 《第五章》
 1)行政権は憲法及び法律に従うことを明記。
 2)政令は憲法及び当該法律に則ったものでなければならないことを明記。

《第七章》
 1)赤字国債の発行に両議院での2/3以上の可決を義務付け。
 2)学校教育への補助と、特定宗教への支出禁止を明記。
 3)国会での決算審議とその議決により決算終了とすることを明記。国会での決算審議を憲法上の明記事項とする事で予算策定及びその執行の厳格化を期する。

《第八章》
 1)一の地公共団体のみに特定の施策を適用する場合は、同様の特別法を制定する場合と同じく、当該地方公共団体の有権者の過半数の同意が無ければならないことを明記。

《第九章》
 1)憲法改正の際の国民投票について、有権者の過半数の賛成が必要とするよう、付記。

《第十章》
 1)この憲法は、この国の全ての規定(皇室典範を含む)、権力の施行及び外国との条約についてはこの国内に効力が及ぶ限りにおいて、その全てに優先する最高法規であって、この憲法の規定と合わない部分については効力を発しないことを明記。
 2)この憲法に基づかない法令、国務に関する行為は効力を有しないことを明記。(「統治行為論」の否認)
 3)国務大臣、国会議員等の憲法擁護義務の由来を付記。

《第十一章》
 1)旧第百一条を削除。

《緊急事態の章》
 取り沙汰されている「緊急事態条項」については憲法に入れるべきかどうか、判断が付きかねたので入れませんでした。但し、入れる場合には以下の点に留意すべきと考えます。

◎「緊急事態」が必要とするポイントは2点
 A)立法と行政執行を素早く行う必要がある。
 B)Aに際して、財産権等、基本的人権の制限を行う必要がある。
この2点について、国家権力の独走及び必要以上の基本的人権の侵害が起きないよう、以下の案を提起します。

Aについては、その権能を内閣に集中させる必要はありません。
例1)
「緊急事態」の宣言は国会が行うこととし、それに伴い「緊急委員会」(仮称)を組織させ、「緊急委員会」に緊急の立法権と行政執行権を授権する。「緊急委員会」は内閣と国会の代表者で組織し、その決議は組織メンバーの多数決で行う。
例2)
「緊急事態」の宣言は国会が行うこととし、それに伴い「緊急議会」(仮称)を組織させる。「緊急議会」は、予め、国会のメンバーから10名程度を選抜しておき、「緊急事態」の宣言と共に組織する。
「緊急事態」においては、内閣は「緊急議会」へ必要な立法を要請し、「緊急議会」が立法した法律に拠って、行政執行を行う。
なお、「緊急議会」のメンバーは、「緊急事態」において内閣の独走を抑制する機能を持たせるため、比例代表制で選出された議員から、その構成政党の比例により選出する。

Bについては、可能な限りの基本的人権を守る規定を用意します。
1)宣言される「緊急事態」は期限付きである事を前提とし、「緊急事態」において立法された法律(並びにそれに基づいて為された行政執行)の効力についても同様とする。
  期限は必要な場合は延長することが出来るが、延長回数にも制限を置く。
2)「緊急事態」下においても、制限が許される基本的人権を予め憲法の中に明記(例えば、財産権、移動権)し、その制限は合理的かつ必要最小限のものでなければならず、相応の補償がなされねばならないとする。他の基本的人権はいかなる制限も許されない。
  司法権及び国民が裁判を受ける権利は「緊急事態」下においても制限されない。
3)「緊急事態」の期間中、国会の開催期間及び議員の任期は延長される。国会は、「緊急委員会」(または「緊急議会」。以下、同)が為した立法及び行政執行に対し、その是非を勧告し、是正を要求出来る。「緊急委員会」は国会の是正要求に従い、立法内容、行政執行内容を修正しなければならない。

上記のような規定とし、「緊急事態」での権力の抑制、基本的人権の保護を期するべきと考えます。

日本国憲法私案(二〇一五年五月二九日 S私案)2015/05/30 13:15:53

日本国憲法 改正私案

(二〇一五年五月二九日 S私案)



 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言すると共に、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令、詔勅及び条約を排除する。

 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を構築し維持してゆくために、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

 いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は普遍的なものであり、この法則に従うことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立とうとする各国の責務であると、われらは信ずる。

 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓う。



   第一章 天皇


第一条 

 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。

第二条 

 皇位は、世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。

○2

 性別は世襲の正否の理由にはならない。

第三条 

 天皇は国政に関するいかなる権能も有しない。

○2

  天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行う。天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負う。

○3

  天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。

第四条

  皇室典範 の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその国事に関する行為を行う。この場合には、前条第一項及び第二項の規定を準用する。

第五条

  天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。

○2  天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。

第六条

  天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行う。

一  憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。

二  国会を召集すること。

三  衆議院を解散すること。

四  国会議員の総選挙の施行を公示すること。

五  国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。

六  大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。

七  栄典を授与すること。

八  批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。

九  外国の大使及び公使を接受すること。

十  儀式を行ふこと。

第七条

  皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基かなければならない。

第八条

  内閣及び国会は、第六条の規定によるものを除き、国政において特定の政策の推進または忌避のために、皇室を利用してはならない。



   第二章 戦争の放棄と平和の構築


第九条

 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

○2

 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、我が国の領土、領海及び領空を保持するために必要最小限度のものを除いては、これを保持しない。戦力の使用は、我が国の領土、領海、領空内及びそれに隣接する公海、公空においてのみ、必要最小限度内において、これを認める。

 国の交戦権は、これを認めない。

○3

 前項の目的を達するよう、自衛隊を改組し、これを前項の目的を期するための組織とする。自衛隊の保持する武器・能力は、前項の目的を達するために必要な最小限度のものを超えてはならない。

第十条

 我が国の平和は、我が国一国のみにて成立するものでなく、世界の平和と密接に結び付いているものであるから、我が国は以下により世界平和に寄与し、以て、我が国の平和達成を期する。

一 世界各地において、軍事紛争、戦争の起因となる様々な問題に対し、非軍事的な各手段により関与し、その解決を図る。

二 前項の目的を達するため、問題の解決、災害復興を目的とした「国際救助隊(仮称。正式名称は法令により定める。以下、同)」を設ける。

  「国際救助隊」は非軍事的手段に拠り活動を行い、海外での任務に当たっては、正当防衛目的の必要最小限度の武器のみ携行を認めることとする。

第十一条

 戦力保持に伴う武器の国内生産については、必要最小限度内においてのみ行うことを認め、外国との共同生産は、これを認めない。

○2

 武器の輸出は、これを認めない。

○3

 前一項及び二項の目的は、以下のとおりであることを、ここに明記する。

一 我が国の資力を極力、非軍事的・平和的な社会構築に用いるため。

二 道義的な観点から、殺傷を産業振興の要因に含ませないため。

三 武器の需要は軍事紛争や戦争の勃発、継続及び拡大に起因するものであり、武器の需要を必要とする産業を興すことは、軍事紛争、戦争の撲滅と相反するものであるため。



   第三章 国民の権利及び義務


第十二条 

 日本国民たる要件は、法律でこれを定める。

第十三条 

 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与えられる。

第十四条 

 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う。

○2

 前項に言う「公共の福祉」とは、全国民がその基本的人権を最大限に享有出来る状態を期するための調整を指すのであって、これを理由として基本的人権を制限することは、国民の基本的人権を護ることが、この憲法の基本原理であり、最大の尊重を必要とすることであることを鑑みて、必要最小限度でなければならない。

○3

 前項は、この憲法で公共の福祉に言及している全ての項目において適用される。

第十五条 

 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

第十六条 

 すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

○2 

 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。

○3 

 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴わない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

第十七条 

 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。

○2 

 すべて公務員は、全国民に対し職務を実行するものであって、一部の者のために職務を行うことは許されない。

○3 

 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。

○4 

 すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問われない。

第十八条 

 何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。

○2

 前項に基づき、別に定める法令の要件に従って請願が為された時は、国又は公共団体の行政府又は議会は、速やかにこれを受理しなければならない。

 請願内容の審議は公開の場で行い、否認の場合には、その正当な理由を公開しなければならない。

第十九条 

 何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。

第二十条 

 何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。

第二十一条 

 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。

 思想及び良心の自由から発した作為的及び不作為的行為もこれに準ずる。

第二十二条 

 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。

○2 

 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。

○3 

 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。

 世俗的習慣として流布している行事に関与する場合には、宗教的要素を取り除くか、社会的に主要な全ての宗教的要素を取り入れて行わねばならない。

第二十三条 

 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

○2 

 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

第二十四条 

 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

○2 

 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。

第二十五条 

 学問の自由は、これを保障する。

○2

 前項の目的を達するため、また特に我が国においては、政府権力が教育方針を支配し、歪めたことがある歴史的経緯を鑑み、国及び公共団体が教育内容に関与することを禁じる。

 教育は、各国民が互いの基本的人権を尊重し、その調和を目指す中から人格を形成し、社会を成し、国を成して行く事を期すものであるから、政府権力から独立して行われねばならない。

○3

 第二十三条第二項の規定は、学校教育に使用する教科書等の教材についても適用される。

○4

 教育及び研究機関は民主的に運営されなければならない。

 特に、教育機関は、この憲法を国是とする我が国を成してゆく国民を教育してゆく機関であるから、この憲法の精神に則って運営されなければならない。

第二十六条 

 婚姻は、当事者の合意のみに基いて成立し、双方が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

○2 

 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

第二十七条 

 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

○2 

 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

○3

 自然環境を開発する場合は、その自然環境により健康的な生活を享受している国民から要求があった場合は、その開発を行う者(以下、開発者と称する)は、当該国民に対し、危害が発生しないことを明らかにせねばならない。

 開発開始後、当該国民の生活に危害が発生し、その危害が当該開発に拠るものでないことを開発者が明らかに出来ない場合は、開発者は、当該国民の要求に対し、自然環境の復旧に努めねばならない。自然環境の復旧が不可能な場合は、その危害を回復出来るに足る賠償を行わねばならない。 

第二十八条 

 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。

○2 

 すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う。義務教育を享受するために必要な費用は、これを無償とする。

○3

 高等教育を享受する機会は、全国民に対し、公平でなければならない。

第二十九条 

 すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負う。

○2 

 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。

○3 

 前項に拠る基準は、勤労者の心身の健康を損ねるものであってはならない。

 児童は、これを酷使してはならない。

第三十条 

 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。公務員に対してもこれらの権利は同等に保障される。

第三十一条 

 財産権は、これを侵してはならない。

○2 

 財産権の内容は、公共の福祉に適合するように、法律でこれを定める。

○3 

 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる。

第三十二条 

 国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う。

第三十三条 

 何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられない。

第三十四条 

 何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪われない。

第三十五条 

 何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となっている犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。

第三十六条 

 何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与えられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。

第三十七条 

 何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第三十五条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。

○2 

 捜索又は押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行う。

第三十八条 

 公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。

○2

 抑留又は拘禁中の取調べは、その全時間を録画し、被疑者、被告人、弁護人又は裁判所からの要求があれば、制限無く公開されねばならない。

第三十九条  すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。

○2 

 刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与えられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。

 刑事被告人は、捜索及び押収による証拠品の全ての開示を求める権利を有する。

○3 

 刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。

第四十条 

 何人も、自己に不利益な供述を強要されない。

○2 

 強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。

○3 

 何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。

第四十一条 

 何人も、実行の時に適法であった行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問われない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問われない。

第四十二条 

 何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。



   第四章 国会


第四十三条 

 国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。

第四十四条 

 国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。

第四十五条 

 両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。

○2

 両議院の議員の定数は、法律でこれを定める。

第四十六条 

 両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならず、これらによって選挙への立候補を妨げる事があってはならない。

第四十七条 

 衆議院議員の任期は、四年とする。但し、衆議院解散の場合には、その期間満了前に終了する。

○2

 衆議院の議員は、定数一名の選挙区制選挙により、これを選出する。

○3

 一被選挙人の当選に必要な票数が、最多の選挙区と最少の選挙区との間で、一.二倍を超える差が生じてはならない。次期選挙においてその事態が想定される場合は、選挙区間の当選に必要な票数の差が一.二倍を超えないよう、次期選挙に間に合うよう国会は速やかに選挙区または定数を変更しなければならない。

第四十八条 

 参議院議員の任期は、六年とし、三年ごとに議員の半数を改選する。

○2

 参議院の議員は、各都道府県毎に定数二名で選出される選挙と、その選挙によって選出される議員の倍以上の定数を選出する比例代表選挙とにより、これを選出する。

 比例代表制選挙は全国を都道府県を跨がった複数の地域に分けた選挙区により、これを行う。

○3

 比例代表制選挙区においては、一被選挙人の当選に必要な票数が、最多の選挙区と最少の選挙区との間で、一.二倍を超える差が生じてはならない。次期選挙においてその事態が想定される場合は、選挙区間の当選に必要な票数の差が一.二倍を超えないよう、国会は次期選挙に間に合うよう速やかに選挙区または定数を変更しなければならない。

第四十九条 

 前三条に定める以外の両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。

第五十条 

 何人も、同時に両議院の議員たることはできない。

第五十一条 

 両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。

第五十二条 

 両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。

第五十三条 

 両議院の議員は、議院で行った演説、討論又は表決について、院外で責任を問われない。

○2

 両議院の議員は、議院での表決に際し、自らの信念に拠ってのみ、これを行う。

第五十四条 

 国会の常会は、毎年一回これを召集する。

第五十五条 

 内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。

第五十六条 

 衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行い、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。

○2 

 衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。

○3 

 前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。

第五十七条 

 両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判する。但し、議員の議席を失わせるには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。

第五十八条 

 両議院は、各々その総議員の三分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。

○2 

 両議院の議事は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

第五十九条 

 両議院の会議は、公開とする。但し、出席議員の三分の二以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる。

○2 

 両議院は、各々その会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は、これを公表し、且つ一般に頒布しなければならない。

○3 

 出席議員の五分の一以上の要求があれば、各議員の表決は、これを会議録に記載しなければならない。

第六十条 

 両議院は、各々その議長その他の役員を選任する。

○2 

 両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。

第六十一条 

 法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。

○2 

 衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる。

○3 

 前項の規定は、法律の定めるところにより、衆議院が、両議院の協議会を開くことを求めることを妨げない。

○4 

 参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取った後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。

第六十二条 

 予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。

○2 

 予算について、参議院で衆議院と異なった議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取った後、国会休会中の期間を除いて三十日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。

第六十三条 

 条約の締結に必要な国会の承認については、前条第二項の規定を準用する。

第六十四条 

 両議院は、各々国政に関する調査を行い、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。

第六十五条 

 内閣総理大臣その他の国務大臣は、両議院の一に議席を有すると有しないとにかかわらず、何時でも議案について発言するため議院に出席することができる。又、答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。

第六十六条 

 国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。

○2 

 弾劾に関する事項は、法律でこれを定める。



   第五章 内閣


第六十七条 

 行政権は、内閣に属する。

第六十八条 

 内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。

○2 

 内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。

○3 

 内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。

 内閣の行政権は、憲法及び憲法に従い国会が立法した法律に基づいて、これを行う。憲法及び法律が規定しない点に当たって、その解釈が必要な場合は、憲法及び当該法律の精神に則った解釈を行わなければならない。

第六十九条 

 内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だって、これを行う。

○2 

 衆議院と参議院とが異なった指名の議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は衆議院が指名の議決をした後、国会休会中の期間を除いて十日以内に、参議院が、指名の議決をしないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。

第七十条 

 内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。但し、その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない。

○2 

 内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる。

第七十一条 

 内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。

第七十二条 

 内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があつたときは、内閣は、総辞職をしなければならない。

第七十三条 

 前二条の場合には、内閣は、あらたに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行ふ。

第七十四条 

 内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する。

第七十五条 

 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。

一  法律を誠実に執行し、国務を総理すること。

二  外交関係を処理すること。

三  条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。

四  法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。

五  予算を作成して国会に提出すること。

六  この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。政令は憲法及び当該法律の規定及び精神に則ったものでなければならない。政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。

七  大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。

第七十六条 

 法律及び政令には、すべて主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする。

第七十七条 

 国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。但し、これがため、訴追の権利は、害されない。



   第六章 司法


第七十八条 

 すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。

○2 

 特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。

○3 

 すべて裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行い、この憲法及び法律にのみ拘束される。

第七十九条 

 最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。

○2 

 検察官は、最高裁判所の定める規則に従わなければならない。

○3 

 最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる。

第八十条 

 裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行うことはできない。

第八十一条 

 最高裁判所は、その長たる裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官でこれを構成し、その長たる裁判官以外の裁判官は、内閣でこれを任命する。

○2 

 最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行われる衆議院議員総選挙の際、国民の審査に付し、その後十年を経過した後初めて行われる衆議院議員総選挙の際更に審査に付し、その後も同様とする。

○3 

 前項の場合において、投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは、その裁判官は、罷免される。

○4 

 審査に関する事項は、法律でこれを定める。

○5 

 最高裁判所の裁判官は、法律の定める年齢に達した時に退官する。

○6 

 最高裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。

第八十二条 

 下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によって、内閣でこれを任命する。その裁判官は、任期を十年とし、再任されることができる。但し、法律の定める年齢に達した時には退官する。

○2 

 下級裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。

第八十三条 

 最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分及び条約が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

第八十四条 

 裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行う。

○2 

 裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行うことができる。但し、政治犯罪、出版に関する犯罪又はこの憲法第三章で保障する国民の権利が問題となつている事件の対審は、常にこれを公開しなければならない。



   第七章 財政


第八十五条 

 国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。

第八十六条 

 あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。

第八十七条 

 国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする。

○2

 財政の収支を均衡させるために国が債務を負担するには、両議院において各々出席議員の三分の二以上の可決を必要とする。

第八十八条 

 内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。

第八十九条 

 予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。

○2 

 すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならない。

第九十条 

 すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない。

第九十一条 

 公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。

○2

 前項は、国民の教育の機会均等に資するための支出を妨げない。但し、その支出は、特定の宗教に偏ったものであってはならない。

第九十二条 

 国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。

 この提出と共に、内閣は、国会及び国民に対し、国の財政状況について報告しなければならない。

○2

 前項の提出と報告を受け、国会はその決算状況及び財政状況の審議を行う。会計検査院の検査は、この審議に際し、国会が自ら決算状況及び財政状況を調べることを妨げない。審議により、決算状況及び財政状況に問題点又は不明な点がある場合は、国会は内閣に対し説明を求め、内閣はそれに答えなければならない。

 問題点又は不明な点が解明し、又はその対処策が講じられたことを以て、国会は決算終了の議決を行い、これを以て、前年度の決算の終了とする。

○3 

 会計検査院の組織及び権限は、法律でこれを定める。



   第八章 地方自治


第九十三条 

 地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。

第九十四条 

 地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。

○2 

 地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。

第九十五条 

 地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。

第九十六条 

 一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその有権者の過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。

 また、内閣が一の地方公共団体のみに特定の施策を適用する場合は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票において、その有権者の過半数の同意を得なければ、内閣は、これを施行することができない。



   第九章 改正


第九十七条 

 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、有権者の過半数の賛成を必要とする。

○2 

 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。



   第十章 最高法規


第九十八条 

 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪え、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。

第九十九条 

 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する又は基づかない法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為は、その効力を有しない。

○2

 前項の法律には、第二条に定める皇室典範を含む。

○3 

 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。

 但し、その条約の効力が我が国の国民及び領土、領海、領空内に及ぶ限りにおいては、この憲法の条規に反する内容は効力を有しない。

第百条 

 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、第九十八条に記された基本的人権を最大限に保障するために設けられるものであり、その権威は国民から由来し、その行使する権力は国民から信託されたものであることをここに明記する。

 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。



   第十一章 補則


第百一条 

 この憲法は、公布の日から起算して六箇月を経過した日から、これを施行する。

○2 

 この憲法を施行するために必要な法律の制定、参議院議員の選挙及び国会召集の手続並びにこの憲法を施行するために必要な準備手続は、前項の期日よりも前に、これを行ふことができる。

第百二条 

 この憲法による第一期の参議院議員のうち、その半数の者の任期は、これを三年とする。その議員は、法律の定めるところにより、これを定める。

第百三条 

 この憲法施行の際、現に在職する国務大臣、衆議院議員及び裁判官並びにその他の公務員で、その地位に相応する地位がこの憲法で認められてゐる者は、法律で特別の定をした場合を除いては、この憲法施行のため、当然にはその地位を失ふことはない。但し、この憲法によつて、後任者が選挙又は任命されたときは、当然その地位を失ふ。

朝日新聞バッシングに思う。2014/09/06 21:49:04

以前、朝日新聞は共産主義、社会主義だという集中攻撃がありました。あの時も今のような雰囲気だったと思います。朝日の記事の一節を取り上げて、こんなことを言っているからアカだ、とか、やる訳です。
日頃から朝日新聞を読んでいる私には、朝日のどこが社会主義や共産主義なものか、と思っていました。多くの文章の一節だけを取り上げれば如何様にも評せますから。
でも、日頃は朝日を読んでいない人にはなるほど、と思った人も多かったことでしょう。

今回の朝日叩きにも同じものを感じます。確かに朝日にも詰めの甘さや至らないところがあります。けれどそれは朝日に限ったことでしょうか?
他人のことを言うのは潔くない。まずは自分の振舞いを正せ、と池上彰氏が「ななめ読み」で言ったとおりで、朝日自身は他紙(誌)のことは言いにくいでしょうが(慰安婦報道検証記事でも他紙への言及は控え目な扱いだったと思います)、読者の私が言うのは問題ないでしょう。


佐藤栄作自民党政権時代、沖縄返還を米国と約した佐藤総理は、その裏で、米軍基地跡の原状復帰費用を、米政府が支払うと見せかけて実は日本政府が負担する事を、秘密裏に米国と約束しました。日本国民に知られたら反対の声が沸き起こる事が明白だったからです。そうして為した「沖縄返還」を大きな政治実績と自讃し、ノーベル平和賞まで受賞したのです。

毎日新聞の記者がそれを嗅ぎつけ、記事にしました。彼は外務省の女性職員を通じてその資料を入手し、その過程で二人(共に既婚者)は肉体関係を持ちました。
佐藤政権はそれに対して、国家機密を「女性職員と情を通じて」不当に入手したとして二人を機密漏洩とその教唆で起訴しました。
そして、毎日新聞以外のマスコミは毎日新聞に対し、女性と肉体関係を持って情報を入手したことを執拗に責め立てたのです。裁判の中で「情を通じて」という言葉を用い、事件をセックス絡みの国家機密漏洩事件として強調した佐藤政権の狙いが当たったのです。
この問題の本質は、佐藤政権が、沖縄返還と言う日本にとって重要な事案を、国民を騙し偽りの内容で行った事、その事を国家機密と詐称した事にあったのに、そのことは目眩しされてしまったのです。


佐藤政権が、米国が負担すべき費用を日本が負担すると決めた事は、国家機密でも何でもありません。単に佐藤政権にとって都合が悪いというだけの情報です。

毎日新聞が正しかったことは密約の内容がアメリカで情報公開されたことで明らかになりました。
新聞記者が公務員から情報を入手する際に、相手と肉体関係を持つことは倫理的に適切ではないかもしれません。それはプライバシーに関することではないか、との意見もあるでしょうが、その点は議論されてしかるべきです。
ですが、その点のみが執拗に責め立てられ、本当に問題にすべき事ーー政権が自らに都合の悪い情報を国家機密と詐称して国民から隠し、それを以て自らの「政治的実績」を誇示した事ーーが、有耶無耶になってしまったのは本末転倒であり、佐藤政権の思う壷でした。

従軍慰安婦問題にしても、日本軍が直接的に女性を強制連行したという吉田清治氏の証言は虚偽だった訳ですが、当時、朝鮮、中国、東南アジアを日本が占領し、その占領下、軍の管理の下で現地の女性たちが否応なく日本兵の相手をさせられたことは事実であり、そここそがこの問題の本質です。
朝日新聞が証言に基づく記事を取り消した事は必要であり、遅きに失しましたが、そのことで従軍慰安婦の存在自体を否定することは本末転倒でしかありません。


しかしながら、吉田証言による記事の取消しが遅きに失したのは事実。池上彰氏のコラム「ななめ読み」の掲載見送りは、動揺の中の判断とは言え、あってはならない判断ミスでした。

安倍幹事長(当時)らによるNHKの番組改変問題を報じた時も、NHK当事者への取材時に録音を認めていたかどうかを詰めていなかったことから、(この問題の本質は明らかであり、朝日が報じた事実は裁判判決でも認定されましたが)報道としては曖昧な決着の付け方となってしまいました。

朝日新聞はこれを機として、更に取材・報道の詰めの甘さを無くし、取材・報道の力を高めることに努めるべきです。読者は必ずそれが分かる筈。
自由と民主主義、非軍事・平和主義、脱原発、社会格差の是正、これらを全国紙の中で最も徹底して主張しているのは朝日だと思います。これまで疑問に思う記事も多々ありましたが、それより、そういう朝日らしさを感じる記事が多いからこそ、そう思います。
今、福井地方版で連載しているルポ「東尋坊」も、生活保護を実際に受ける人の現場から言葉を起こしているいい記事だと思います。

まだまだやるべきことは多いでしょうが、これからも必要な時には政治権力に対峙してゆく姿勢を保つには、取材・報道の力を更に高め、腰を据えて取り掛かる、態勢と姿勢が必要です。
そのためには、今の朝日はまだ道半ばということです。
頑張りましょう。
正々堂々と。それが朝日の道だと信じています。

朝日新聞の連載コラム「池上彰の新聞ななめ読み」掲載拒否問題に関して2014/09/05 02:00:58

朝日新聞の連載コラム「池上彰の新聞ななめ読み」。
朝日新聞が8月5、6日に掲載した慰安婦報道検証記事を対象にしたそのコラムの掲載を朝日新聞が拒否した事は、直ぐに過ちを認め撤回したとは言え、朝日新聞にとって大きな汚点となってしまいました。

「従軍慰安婦」などどこの国の軍隊でもやっていたこと、あれは売春婦だった、などと言って、朝日新聞の慰安婦報道を従来から苦々しく思っていた人たちはここぞとばかりに朝日批判を繰り返しています。

ですがそういう人たちは、当の池上彰氏がそのコラムの中で言及している次の一節には、決して触れないでしょう。
なので、ここに紹介しておきます。(以下、池上彰氏の記事を『』で表します)

『朝日の記事が間違っていたからといって、「慰安婦」と呼ばれた女性たちがいたことは事実です。これを今後も報道することは大事なことです。』

(済州島で日本軍が女性たちを強制連行したという)吉田清治氏の証言が虚偽だったからと言って、日本による占領下、日本軍の管理した慰安所で、「慰安婦」として不本意に日に何人もの日本兵の相手をさせられた女性がいた事実は変わりません。
それが慰安婦問題の最も大事な点です。
この吉田氏の虚偽証言に基づいた記事に関して、池上氏はこうも言っています。

『今回の検証特集では、他紙の報道についても触れ、吉田氏の証言は他紙も報じた、挺身隊と慰安婦の混同は他紙もしていたと書いています。問題は朝日の報道の過ちです。他社を引き合いに出すのは潔くありません。』

そう。日本軍が占領地の女性たちを慰安婦としたのが問題なのです。
他国もこれまでの歴史の中で同様のことをやっていたかもしれません。ですがこれは私たちの問題なのです。そして己の問題に向き合ってこそ、他国の行いにも物が言えるのでは無いでしょうか?

『新聞記者は、事実の前で謙虚になるべきです。過ちは潔く認め、謝罪する。これは国と国との関係であっても、新聞記者のモラルとしても、同じことではないでしょうか。』

確かに、今の中国には大いに問題ありです。韓国の姿勢にもやり過ぎの感があります。ですがそれらも元々は、戦後ずっと、我が国の政権中枢の政治家が15年戦争の責任を明言してこなかったこと、政府として何かを表明する度に必ず、政権近辺の政治家がそれに異を唱えてぶち壊してきた、そのことに原因があります。そしてその度合いは近年ますますひどくなっています。

あの戦争は日本軍が中国大陸や東南アジアの国々に行(い)っておこなったのです。その逆ではありません。

日本の占領のおかげで中国にも朝鮮にも鉄道が敷かれ産業が興ったのだという人もいます。ですが、それらはまず第一に自分たちの利益のためだった筈です。それにその立場が逆だったら、日本列島が中国やソ連(当時)に占領され、それでインフラが整えられたとしたら、私たちはそれを、占領してくれてありがとう、と感謝するのでしょうか?

自らの過ちを認めてこそ、今の中国に対して、貴方達は私たちが犯した過ちを繰り返そうとしている、と強く言えるのです。

過ちは潔く認め、謝罪する。その潔さが必要なのであり、その姿勢の上にこそ、矜恃と言うものも生まれるのだと私は思います。

自衛隊を再び「日陰者」にするのか2014/07/03 01:48:54

自衛隊は「日陰者」になりました。

自衛隊は当初、朝鮮戦争を機に警察予備隊として発足、その後、保安隊と名を変え、現在の自衛隊となりました。
元々、日本国憲法は9条で戦力不保持を謳っていますから、当初、自衛隊は憲法違反という意見が強く、社会的に「日陰者」扱いの雰囲気があったようです。実際、吉田茂首相(当時)は1957年の防衛大学校卒業式での訓示で、「君達(自衛隊)が日陰者である時の方が国民や日本は幸せなのだ。どうか、耐えてもらいたい」と述べたと言います。
私が中学、高校の頃(40年近く前)にはまだ自衛隊違憲論も根強く、そのような雰囲気も残っていたと思います。

その後、時間を掛け、また災害救助での活動も重ねる中、自衛隊の社会的認知度は高まり、今では自衛隊に違和感を覚える人は殆どいないでしょう。
ですが憲法9条との関係は常に意識され、その活動範囲を考える時は国会でも国民の間でも多くの議論がなされてきました。

その結果として、その議論の結論がどうであれ、それに基づく自衛隊の活動は国民の認識の下になされることとなり、それは時に生命を懸ける状況で活動を行う隊員たちにとって、大きなアイデンティティとなってきたのではないでしょうか?

9条との関係で常に深く意識され議論されることで、自衛隊を肯定するか否定するかの意見・立場に関わらず、自衛隊は日本国憲法と共にあったのだと言えます。

しかし、安倍政権は、その憲法の規程に関わらず、内閣が、突き詰めれば内閣総理大臣がその解釈によって自衛隊の活動を決められるのだ、と閣議決定しました。ロクな国会での議論もないまま、真っ当な国民への説明も行わず、与党内の内輪の者だけで行ったのです。
(現場を知る者にとっては非現実的な状況設定を理由にし、母子のイラストで情緒に訴えるような会見を、国民への説明とでも言うのでしょうか?)

そんな決定は日本国憲法に基づくものでも、広範な国民による議論、認識に基づくものでもありません。その安倍政権の決定に基づくこれからの自衛隊の活動も同様ということです。

自衛隊はこの先、海外で、戦場で、人を殺し、殺されることに晒されながら、生命を掛けた活動を行う事になるでしょう。しかしそのバックには、国民の議論も認識も無いのです。
それは隊員にとって、どんなにか心許ないものかと想像します。

自衛隊は日本国憲法の「日陰者」として産まれ、今また、「日陰者」にされようとしています。
そうしたのは、安倍晋三です。

15年戦争開戦の詔書2014/07/03 01:46:54

==========================================
我が国はそもそもアジアの安定を以て世界平和に寄与すべく活動を行ってきました。
各国との交流を深め、共存共栄の道を探ることが我が国の国交の目的です。

然るに、我が国の真意を理解する事なく、みだりに事を構えてアジアの平和を撹乱している国があり、我が国としても武力の行使を避ける訳にはいかなくなりました。
その国は我が国の周辺で軍事力を増強して脅威を増大し、挑発を繰り返して我が国を屈従しようとしています。

このまま座視していれば、アジアの安定は損なわれ、我が国の存立は正に危機的な状態に陥るでしょう。
私達は今や、その独立を守り、自衛のため、決断して障害を取り除かねばいけません。
==========================================

さて、何の文章だと思いますか?
昨日(一昨日)の閣議決定での安倍の会見ではありませんよ。

これは、1941年12月8日、我が国が米英との開戦を決定した時の昭和天皇の詔書の一節です。
(勿論、現代の口語体ではないので、私が意訳しています)

安倍が今回、集団的自衛権容認の理由、或いはその制限として言っていることと寸分、異なりません。
「独立を守り」「自衛のため」に武力を使う。集団的自衛権を行使する。

「自衛」と言いながら、「満蒙が生命線」だといい、我が国は中国へ派兵し、侵略戦争を行いました。
東南アジアの各国に派兵し、戦線を拡大しました。
今回は「自衛」と称して、中東を生命線(シーレーン)として軍隊を派兵することになるのでしょう。

かつてのような露骨な侵略戦争とはならないでしょう。しかし、イラク戦争にしても、米国の本当の狙いはイラクの油田だった、という説もあるほどです。日本が中東の当地でどのように見られるかは分かりません。
従来はイラクに派兵しても、少なくとも表向きは米国の戦闘と一線を画してきました。
しかし、これから米国と一体化して活動、戦闘を行えば、その目的も米国と同じと見做されるでしょう。

「自衛のため」とかいう言葉だけでは歯止めにはならない、ということです。

「専守防衛」に徹し、海外には絶対に派兵しない。
その上で、貧困や社会格差を無くして行くための非軍事的援助を、世界各国に対し人材的、経済的に行うという、本来の意味での「積極的平和主義」を行う。
それが、私たちが日本国憲法で決めた、外交、安全保障の基本です。

福島原発事故の被害が全国に拡散しようとしています。2014/05/31 00:34:27

福島県に小中学校の修学旅行を呼び込もうと福島県の佐藤知事が要請、これに埼玉県の上田知事が応えようとしています。

http://tabemono.info/report/former/genpatu7.html

不安を訴える親は「心が負けている」のだそうです。

これ、太平洋戦争中に、出征した子どもが戦死しても、悲しんだら「非国民」と言われ、天皇陛下に命を捧げたことを喜んで見せなければならなかったことと似ていませんか?

これで不安を訴えれば「風評被害」だと言い、
将来、健康被害が出れば「放射線との因果関係は立証されていない」と言って切り捨てるのでしょう。

原発は必要だと言っている皆さん。
心の中で、被害は福島で終わっている、と思っていませんか?
他人事だと、思っていませんか?

福島の放射線の被害は、全国に広まろうとしています。

原発を扱うモラルはありや。2014/05/29 02:13:08

福島第一原発が爆発を起こした時、対策チームを率いる筈の東電のマネージャー達は、第一原発の線量の低いところで待機する旨の吉田所長の指示を無視して第二原発へ避難した。


原発に常駐し、情報交換や事故対策を担う筈の原子力安全・保安院(今の原子力規制庁)の保安検査官は第一原発に来なかった。


原発から5km離れたところにあるオフサイトセンターには、原発事故の際、10以上の省庁から40人超が集まり、原発や周辺自治体と連携して情報を収集・発信する拠点になると定められていた。甲状腺がんを防ぐ安定ヨウ素剤の配布指示でも大きな役割を担っていた。
それなのに、実際にはその半数強しか来なかった。班が7つ立ち上がり、それぞれが班長の指揮のもと作業にあたることになっていたのだが、班長が3月末近くまで来ない班もあった。


過酷事故の際に注水するために福島第一原発には3台の消防車が用意されていたが、1台は津波で破損、1台は構内道路破損のため原子炉に近づけなかった。1台は使える状況だったが、東電の社員は誰も消防車を運転したことが無かった。


東電から消防関係業務を請け負っている南明興産という会社の社員3名が、化学消防車1台と共に新潟の柏崎狩羽原発から福島第一原発に向かった。
第一原発に着くや否や、消防車を動かせるのは彼らしかいなかったから、放射線量の高い屋外で彼らは引き続き作業を行った。注水のための水を汲む場所はコロコロろ変わり、その作業を彼らはし続けた。


注水作業のためには、それ自体が高い放射線を放ち続けているがれきを撤去する必要があったが、そのために間組(はざまぐみ)が精力的に作業を進めた。
なぜ、間組が作業に当たっているのか吉田所長も理解していなかったしその時間も無かったが、間組は作業をし続けた。


最も大変な事態が進行しているときに、原発を操作できる唯一の組織である電力会社の社員が現場から逃げ出し、収束作業態勢を著しく縮小し、作業にあたる義務のない者が自発的に重要な作業を行った。現場に来ることが定められていた役人は来なかった。


例え、仮に原発が技術的に100%の安全を確保出来たとしても、その安全を現実にするには、それが完璧に運営されることが必要だ。その責を担う電力会社と役人のモラル、そして組織的・制度的な態勢が実質的に完備されていなければ、それは不可能だ。


21日の大飯原発差し止め訴訟において、関電は、「使用済み核燃料を保管しているプールが堅固な容器で覆われていない理由は何か」、との裁判長の質問に期日が来ても答えなかった。このような基本的な質問に答えないのはどういうことか、と裁判長が声を荒げて問うと慌てて、「プール自体が強固な構造物」と質問をそのまま返すような回答を返してきた。このようなことが何度もあったという。
そして判決の日。関電からは誰も出廷していなかった。


関電に、安全に対するモラルがあるか? 意識があるか?
この一事を見るだけでも、とてもそう思えない。
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