「パフューム」2007/04/06 01:45:31

最初のシーンと、ラストとはどう繋がるのか分かりにくい。
だが、とても哀しい話だ。
世界で唯一、最高の才能を持ちながら、それ故に一生、誰とも心を通わせる事が出来ずに終わった男の話だ。
群衆に囲まれる中で、自分が本当に望んでいた事に気付くところは哀しかった。
本当はああなりたかったのに、どうして・・・。
そんな自分に絶望して、最後はああするよりなかったのだろう。
せめて、そうして貰いたかったのだ。
ああする以外に、他人と交じり合う術を考えられなかったのだ。

「釜ヶ崎と福音」2007/04/08 01:24:34

キリスト教の解釈に目から鱗でした。
著者は本田哲郎という人。
クリスチャンの家族の中で生まれ育ち、当然のようにその道に進み、日本でのカソリック会のトップ(管区長)にまでなった人です。
ですが著者はずっと、自分が「よい子」として振る舞っているだけで中味は何もない人間だ、という思いに囚われていたそうです。その自分が、トップに選ばれてしまった事に悩んでいたのですが、ある日、ドヤ街・釜ヶ崎の教会を訪ねた事で変わってゆきます。
釜ヶ崎で得た体験、そこで自分の心の中に起きた体験を、それまでに蓄積してきた(日本カソリック会最高の)知性で裏付けしてゆくイエス・キリスト、キリスト教への新たな理解は、とても説得力があり、合点が行きます。
冒頭に書いたように、そのキリスト教への解釈は、目から鱗が落ちるような思いでした。

この著者が訳した聖書も出ているそうなので、是非、読みたいと思います。
この本を読めば、読んでいるだけではダメなのだ、との思いに囚われるのですが。

著者の訳した聖書(いずれも新世社刊)
「小さくされた人々のための福音」「コリントの人々への手紙」「パウロの獄中書簡」「ローマ/ガラテヤの人々への手紙」

「さくらん」2007/04/08 01:42:36

さすが写真家だけあって全編、とても美しい。
けどそれだけじゃなく、主人公始めキャラクターもちゃんと描かれていて面白い。
キヨハを床上げする「通」の老人も飄々として粋だし、キヨハ(ヒグラシ)が安藤政信演じる番頭と駆け落ちするシーンもいい。
絢爛な遊廓の世界と椎名林檎の歌もマッチしていてよかったが、一ヶ所だけ、キヨハがマブに逢いに足抜けして、マブを見た後、川で泣くシーンに流れる歌は余計だった。キヨハの気持ちを感じるのに邪魔になった。
あと、土屋アンナの演技は上手いとは言えなかったのも残念。「下妻物語」の時はそんなに思わなかったのだが。

「ブラッド・ダイアモンド」2007/04/14 02:00:22

何かで、どうしてこういうアフリカを舞台にした映画が、昨年の「ナイロビの蜂」とか、ハリウッドで作られるのか、という記事を読んで、「そこにはドラマのネタが豊富にあるからだ」というその内容に、ちょっと冷めた目で見るようになってしまった。

けど、実際にこの映画を観てみたら、やはり凄い。
いや、実際にはこの映画の更に何倍も凄まじいのだろうが、それでも、
感動した、とか、考えさせられる、とか、そんな言葉にすることすら憚られるような重さを感じる。

「ダーウィンの悪夢」2007/04/17 23:50:07

「ブラッド・ダイアモンド」より更にあからさまに、深く、アフリカのもう一つの現実を提示するドキュメンタリー。
一個の作品として当然、作者の意思も編集もある訳だが、ナイルパーチという魚がヴィクトリア湖に放されたことで起こっている現実の醜さを、次から次へと、提示してゆく。
買い手のある資源を手にしていてどうして、その回りにいる者が豊かになれず、貧困の淵を彷徨うのか。富は加工された魚を毎日、運んでゆく飛行機と共にヨーロッパや日本へ飛んでいってしまう。
『我々はナイルパーチを加工する工場に40万ドルを投資した。あとは現地の人々次第だ』。ヨーロッパから関係者はそう言う。しかし・・・

自由競争、などという概念は嘘っぱちだ。
この現実は、そう言っている。

国民投票法案2007/04/19 01:45:17

今朝(正確には昨日の朝)、また読売テレビ(読売新聞?)の辛坊さんが変なことを言っていた。

国民投票法案に最低投票率の規定がない理由について。

何でも、憲法改定の内容について反対を続ける一部の人がボイコットを起こすと、最低投票率をクリア出来なくて、憲法改定が出来なくなるから、だそうだ。

それって、(それこそ)本末転倒な考え方じゃない?
最低投票率をどう設定するかはこれからとして、それをクリア出来ないほどの人たちが、例え数的には少数派であってもそれだけ根強い反対が国民の中にあるとすれば、その改定は時期尚早と考えるべきなのじゃないだろうか?
なんと言っても国の背骨、憲法の改定なのですから。
時間をかけて議論を尽くし、そういう反対の人たちが(ボイコットをしても)最低投票率をクリア出来るほどになるまでに持ってゆく。
憲法の改定なのですから、そういう議論の時間をかけて、国民の大勢が納得出来る形にしてゆくことが大事なのだと思います。

根強い反対で改定出来ないことよりも、例えば40%の投票率で、その過半数の、全体からみれば20%の人たちの賛成で改定されてしまうことの方が、余程、問題ではないですか?

それにしてもこの議論で、憲法改定の目的は結局、9条なんだなぁ、と思いました。それだけの根強い反対があるのは9条についてでしょうから。
憲法9条への根強い支持者を、それこそボイコットして憲法改定を行ってしまいたい。
そういうなりふりの無さ、を今回の国民投票法案に感じました。
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