鉄筋コンクリート国家2009/10/05 12:41:19

日本の鉄鋼やセメントの人口一人当たり生産量は欧米先進国の2倍なのだそうです。

これも、昨日の朝日新聞のコラムから。

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朝日新聞記事『経済コラム 補助線』 20091004
「公共事業削減 鉄筋コンクリ国家と決別を」
小森淳司 編集委員

 八ッ場ダムや川辺川ダムの建設中止が問題になっている。前原誠司国土交通省による中止の判断は、地元住民にとっては、とてもつらい話だろう。国交相は誠意を持って説明し、補償にも尽くしてもらいたい。だが、この狭い日本の国土を見渡すと、ダムや道路、橋、空港といった鉄筋コンクリートに、すでに過剰と言えるほどに覆われているのも現実だ。国交相には、ムダな公共事業の削減に果敢に挑んでもらわないといけない。
 世界各国と比べても、この日本に、鉄筋コンクリートの構造物をつくり続ける財政余力がないことは明らかだ。世界同時不況への対応で欧州各国の財政事情も悪化しているが、統一通貨ユーロの導入国には、ユーロの信認を守るため、例えば国の債務残高を、対国内生産で原則60%以内に抑えるといった義務がある。財務省の資料などによると、2009年の債務残高は、ドイツが66%、フランスが76%と、「及第点」に届かない。
 でも、日本は174%だ。仮に、日本はユーロに参加させて下さい、とお願いしても、玄関で「どうぞ、お引き取り下さい」と言われるのがオチだろう。鳩山首相は総選挙前、月刊誌に民主党代表として寄稿し、「東アジア共同体の創造」を提唱するとともに、「アジア共通通貨」をうたった。その思いは、多いに買いたいのだが、こんなお粗末な懐具合で、アジアの共同通貨づくりの推進役を担えるのだろうか。
 国立環境研究所によると、日本の鉄鋼やセメントの人口一人当たり生産量は欧米先進国の2倍前後。これが、数十年も続いている。自動車などに形を変えて輸出される分を差し引いても、この狭い国土に、大量の鉄筋コンクリートを打ち込んできた証しと言えるだろう。実際、国土面積当たりの道路の密度は、日本は欧米の2倍前後になる。それと裏腹に、この巨額債務が出来た。このツケは子供たちに引き継がれる。子供たちの明るい「未来」を奪っている。
 八ッ場ダムを含め、こんな状況にした責任を本来問われるべきなのは、ムダな公共事業を止めようという鳩山政権ではなく、この国土を鉄筋コンクリート漬けにした「公共事業複合体」につらなる族議員や官僚、一部の産業界のはずだ。筆者はそう考える。
 鉄筋コンクリートをつくる鉄鋼業界やセメント業界は、温室効果ガスの膨大な排出源でもある。世界に公約した「2020年までの25%削減」を実現するためにも、鳩山新政権は、ここにこそ、切り込んでいかねばならない。応分の負担をしてもらうよう、排出量取引制度といった制度づくりも急ぐべきだ。
 民主党のマニフェスト(政権公約)には、鳩山代表の言葉として「私はコンクリートではなく、人間を大事にする政治にしたい」とある。そう、これまでの鉄筋コンクリートのための政治とは、きっぱりと決別する時だ。

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