「億万長者」 ― 2008/09/25 02:08:42
最後に観たのがこれ。
「億万長者」
シュールなシリアス劇とでも言おうか。
戦闘機のジェット音を怖がる主人公(木村功)の様子は、黒澤明監督の「生き物の記録」を思い出させる。
描かれるどん底の生活は、80年代に撮られた『幸福』を連想させ、この間、この国は成長したのだろうか、との思いにとらわれる。
「恋人」や「愛人」のような映像を撮る一方でこのような作品も撮っている市川崑監督の幅の広さを感じる。
それでも、「生き物の記録」のようにシリアス一辺倒でなく、
戦争の陰をまだ引きずりながら急激な経済成長と共に汚職が蔓延している現実をカリカチュアライズして描いているのが、市川崑監督らしいタッチと言えるのだろう。
ただ人物像としては、話の内容上どうしてもジメジメしてしまう木村功の主人公よりも、現実的でありながら小気味の良い、山田五十鈴演じる芸者の方が魅力的に映っている。
この映画のラストは、主人公と、どん底暮らしの青年(岡田英治)が原爆に恐れおののいて走り去るところで終わるのだが、解説を読むと、「結末をカットした配給会社に抗議し、監督は自らの名もフィルムから削った。」とある。
本当はどんなラストだったのか、とても気になる。
「億万長者」
シュールなシリアス劇とでも言おうか。
戦闘機のジェット音を怖がる主人公(木村功)の様子は、黒澤明監督の「生き物の記録」を思い出させる。
描かれるどん底の生活は、80年代に撮られた『幸福』を連想させ、この間、この国は成長したのだろうか、との思いにとらわれる。
「恋人」や「愛人」のような映像を撮る一方でこのような作品も撮っている市川崑監督の幅の広さを感じる。
それでも、「生き物の記録」のようにシリアス一辺倒でなく、
戦争の陰をまだ引きずりながら急激な経済成長と共に汚職が蔓延している現実をカリカチュアライズして描いているのが、市川崑監督らしいタッチと言えるのだろう。
ただ人物像としては、話の内容上どうしてもジメジメしてしまう木村功の主人公よりも、現実的でありながら小気味の良い、山田五十鈴演じる芸者の方が魅力的に映っている。
この映画のラストは、主人公と、どん底暮らしの青年(岡田英治)が原爆に恐れおののいて走り去るところで終わるのだが、解説を読むと、「結末をカットした配給会社に抗議し、監督は自らの名もフィルムから削った。」とある。
本当はどんなラストだったのか、とても気になる。
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