「ヒーローショー」絶対観るべし!!!2010/06/26 16:00:29

2010年6月18日(金)/金沢ユナイテッドシネマ
★★★★★(★5つで満点)
製作:2010年度
監督:井筒和幸
脚本:吉田康弘/羽原大介/井筒和幸
出演:仲里依紗/中尾明慶/安田成美/青木崇高/石橋杏奈/勝村政信/石丸幹二
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「告白」は確かに面白いです。暗澹たるドラマ、意表をつくカメラワークと演出。松たか子の演技もゾッとするほどです。内容と興行成績がちゃんと合致している作品だと思います。
ですが、その上で、今のところ、”今年の映画ナンバーワンはどれか”と訊かれれば、”今、観るべき1本はどれか”と訊かれれば、私は躊躇わずに「ヒーローショー」を推します。

「ヒーローショー」の井筒和幸監督は前作「パッチギ!」「パッチギ!LOVE&PEACE」で、日本社会のタブーである在日問題に斬り込みながらエンターテイメントとしても成立した傑作をものしました。
そしてこの「ヒーローショー」では、まだ「在日問題」というような名さえ与えられていない、今の社会に蔓延している鬱屈した空気を、若者を通して取り上げています。

映画の中で、彼らは何度も激しい暴力を振るいます。そして、その暴力と感情の連鎖の中でどんどんがんじがらめになってゆきます。そして、その出口は、どこを見回しても見つからないのです。

優れた傑作(敢えて重複表現)を観ると、作者が返り血を浴びながらテーマに肉薄していることが、スクリーンから伝わってくることがあります。
映画を観ているつもりが、カメラと一緒になってスクリーンの中の場に居合わせているほどに感じてしまう、そんな感覚です。

本当はもっと何か別の道がどこかにあるはずなのに、この道しかない。
追い詰められて辿り着いたラスト・シーンは、希望があるのか、或いは絶望がやってくるのか、全く分からない、ラスト・シーンです。

何も解決していない。けれど今は、取り敢えずその場にいて、そうしているしかない----、そんなラスト・シーンです。

しかし、それこそが、そうだよ、俺はそこにいるんだ。俺も今、そこにいるんだよ! と感じさせてくれる、シーンなのではないか。それこそが、人の心に残る、傑作なのではないか、そう思います。

前作までにあったエンターテイメント性は、この作品にはありません。「今」の中からこのドラマを掬い上げてゆくことで手一杯であり、それで十分だと考えたのかもしれません。確かに、エンターテイメント性などなくとも、一旦このスクリーンを観たら、最後まで観ずにはいられない、その力強さがこの映画にはあります。


「ヒーローショー」と同じようなものを、つい最近、韓国映画「息もできない」に感じていました。主人公のヤクザと女子高生の、あの眼差し。それを観ただけで、あの映画の何かが、分かってしまう、やはり暴力に充ちた映画です。
「ヒーローショー」と「息もできない」。前後して現れた、この日韓の「今」を描こうとした2本の映画は、どちらも暴力を大きなテーマとして抱えています。

今の時点での今年の私のベスト3は、
「ヒーローショー」「息もできない」「泣きながら生きて」です。
「告白」は傑作ですが、「今」を描こうとするこの3本の気迫の前には、その面白さの前には、大きく及びません。

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この「ヒーローショー」を、
福井コロナワールドで、今日(6月26日)から上映しています!
是非、観に行って下さい!!!
「告白」は勿論、観に行っていい。けれど、「ヒーローショー」が誰の目にも触れられずに終わってしまうようなことは、あってはいけません!!
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